山本伸一は言った。
「今日は、私も愛する岩手の一員です。したがって会長は別の人にやってもらいます。
あなたに『一日会長』をお願いします」
教育部の壮年を指名し、自分の胸章を彼につけた。
勤行のあと、県幹部から、この一月十一日を「水沢の日」とすることが発表された。場内は喜びの大拍手に沸き返った。
幹部の抱負に移ると、伸一は言った。
「私たちは、役職や肩書に関係なく、みんな平等です。同志であり、友だちです。だから、登壇者も堅苦しい話はやめて、原稿は見ないで話すようにしましょう。皆、遠くから来て、疲れているんだから、楽しくね」
戸惑ったのは、登壇者たちである。途中でしどろもどろになる人もいた。すると、会場から声援が起こり、笑いが弾けた。
さらに、婦人部合唱団の合唱となった。
「歌は何がいいですか。リクエストした曲を歌ってもらいましょう」
伸一が提案すると、「荒城の月」「春が来た」など、次々に声があがった。合唱団は、慌てることなく、はつらつと歌った。
「では、もう一曲!」
「『青い山脈』をお願いします!」
練習したことのない歌だ。しかし、これも見事に歌い上げた。大きな拍手が轟いた。
合唱団のメンバーは、何事も、心を定め、体当たりでぶつかっていく時、高い障壁も乗り越えられることを確信したのであった。
(聖教新聞より転載)
「人生の師匠である池田先生のご指導を胸に、信心は平等であり、すべての様々な出来事を当意即妙で自由に自分が対応できる人生を送っていこう!」