第93回「東京箱根間往復大学駅伝競走」(箱根駅伝=来年1月2、3日)の予選会が15日午前、東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地から国営昭和記念公園までの20キロコースで行われた。創価大学(東京・八王子市)は堂々の3位に入り、2年ぶり2度目の箱根駅伝本戦への切符を手にした。伝統校をはじめ昨年を上回る50校が参加した今年のレースで、創大の最終合計タイムは10時間10分09秒。創大の歴代ベストタイムを4分更新した。創立者の池田名誉会長は、選手たちの大健闘をたたえ、「うれしい。本当におめでとう」との伝言を贈った(11面に関連記事)。
創価大学の赤と青のタスキが再び、新春の箱根路に戻ってくる!
「3位、創価大学」
その瞬間、選手、スタッフ、応援団の喜びは爆発した。瀬上雄然監督、主将のセルナルド祐慈選手(4年)の体が何度も宙を舞う。
「創立者をはじめ全国の応援してくださった皆さまに、感謝申し上げます。選手が本当に頑張りました。つらい時期もあったが、チーム一丸で乗り越えてきた。皆でつかんだ切符です」と瀬上監督。
セルナルド主将は「4年間、これほどまでに準備をして臨んだ予選会はありませんでした。皆で話し合ってきた“作戦”が的中しました」と胸を張る。
予選会は、各校12人以内が出場し、一斉に20キロを走る。上位10人の合計タイムで「10枠」の出場権を争うが、一人の大きなブレーキで出場権を逃すケースも少なくない。そのため選手たちは、「予選会で皆が最大の力を発揮するためには?」と何度もミーティングを重ね、予選会の戦術を練ってきた。
そこで決まったのが「スイッチ作戦」。上位が狙える3選手はチームのタイムを稼ぐ。後に続く9人は、折り返し地点の10キロまで集団を形成する。そして残りの10キロは、単独走に切り替え、各人が当日の状況に応じたペースをつくる作戦だ。
集団走をキープする上で重要な点は「チームの信頼関係」だ。ゆえに、創大は学年の垣根を越え、徹底的にコミュニケーションを図ってきた。
「今年は、チームの雰囲気が抜群。最初にリズムをつくれれば、その流れを最後まで維持できる」(久保田満ヘッドコーチ)
迎えた予選会当日。
レースは序盤から、セルナルド主将とムソニ・ムイル選手(1年)が先頭集団についた。次の集団に、大山憲明選手(3年)が続く。後の9人は集団走を展開した。中でも、古場京介選手(2年)はムードメーカーとして皆を鼓舞していった。創大は5キロ地点、10キロ地点とも上位につける。
その後も創大は、上位3人が好位置をキープ。後に続く選手たちも作戦通り、各人のペースに切り替え、安定した走りを見せた。
レース中、「後半の10キロが勝負。ゴールするまで油断できない」と拳を握った瀬上監督。13・5キロ、19キロ付近の沿道に立ち、選手一人一人の名前を叫んでいく。
サポートに回ったメンバーも応援団も、心一つに声を張り上げた。そして、その思いに応え、全力を振り絞った選手たち。
最後は、伝統校の壁をも打ち破り、見事3位という結果を打ち立てたのだ。
レース後、選手たちはこう口をそろえた。
「この勝利はチームワークの力です。次の目標は、箱根駅伝でのシード権獲得です!」