訪印団一行の歓迎宴が一段落したころ、ゴエンカ会長はいたく恐縮した表情で、山本伸一に伝えた。
「誠に申し訳ありませんが、孫娘の結婚披露宴にまいりますので、一足お先に失礼させていただきます」
明日が愛する孫娘の結婚披露宴であり、夜行列車で式典会場に向かったのである。人づてに聞いた話では、
インドの結婚式は盛大で、披露宴の一週間ほど前から祝いの催しが始まるという。そのなかを、披露宴前日
の夜まで時間をとって歓迎してくれたのだ。
伸一は、会長の“人間”に触れた思いがした。信義には信義で応えたいと強く思った。
インドには、悠久の歴史がある。
十日午後、伸一たちは、ニューデリーのジャンパット通りにあるインド国立博物館を訪問した。
石器時代に始まり、インダス文明の都市遺跡であるハラッパーとモヘンジョダロの発掘物、マウリヤ朝のアシ
ョーカ王やクシャン朝のカニシカ王、グプタ朝などの各時代の文化遺産が展示されていた。
彫刻、絵画、コイン、武具、織物、宝石、伝統芸術作品など、どれも貴重な品々である。
館内を見学した伸一は、館長のM・R・バナルジ博士と会談した。長年、考古学の研究に携わり、多くの文化
遺跡の発掘作業を行ってきた館長は、目を細めて語った。
「発掘をしていて最も嬉しかったことは、過去にインドで鉄器が製造されていたことがわかり、インドの鉄器
時代が明らかになったことです」
発掘作業は、根気と忍耐の作業である。しかし、この作業を通して人類の歴史が一つ一つ解明されていく。
戸田城聖は、よく「人材を発掘せよ」と語った。それもまた、家庭訪問を重ね、対話を積み重ねていく、まこと
に地道な忍耐の作業である。だが、人材という宝の発掘こそが、広宣流布の未来を開く黄金の光となる。
源流 四十八を読んだ感想と決意 島幸弘
世界四大文明、エジプト・インダス・メソポタミア・黄河(順不同)、今回はインダス文明のことに触れていますが、せっかくの文明もすべて継続していた例はなく必ず衰亡の途をについている。人間同士が賢く話し合いができれば世の中も変わっていたであろうと思うと、今も昔(古代)も同じ人間のせめぎあいは変わらず、世界の紛争は今だ癒えていない、その事を考えると人間ほど残酷なものはないとの印象にもなりかねない。真の平和を求める庶民の声を糾合していかねばならない。そのために池田先生は創価一貫教育を設立し世界平和に有用な人材育成をされていました。私たち創価学会員は社会での経験をもとに日蓮大聖人の仏法を学び、自分自身の存在・環境への影響を考える時、自らが世界平和の人材となるべく日々学び成長していきたいものである。