彼は、朝から大阪各地を駆け巡り、泉州では、二会場を回る予定であった。訪れた先々で、生命を削る思いで激励を続けてきただけに、伸一の疲労は、ピークに達していた。泉州の二軒目となるお宅に向かいながら、彼は言った。
「さあ、あと一会場だね。今日は、これで二十四カ所目なんですよ」
井草は、一瞬、躊躇した。二会場の予定が、どうしても訪問してもらいたい家があり、三会場にしてしまっていたのだ。
意を決して、もう一カ所、増えたことを伝え、伸一にわびた。
「お疲れのところ、申し訳ありません」
「いいえ。喜んで伺わせてもらいます。私は広布のため、同志のために一身を捧げる覚悟です。それが幹部ではないです。
「広布のため、同志のため喜んで伺わせていただく、その思いが常にあるか?」(絵・記事内容は聖教新聞から転載させて頂きました)