三台の撮影台を使って写真撮影が行われたが、長野研修道場は長蛇の列が途切れることはなかった。飯山、長野、上田から、穂高、松本から、塩尻、諏訪から、飯田、伊那から、続々と同志は集って来た。山本伸一は、記念撮影が終わるたび、皆に声をかけ、語り合い、何十人、何百人もの人と握手を交わした。
記念撮影も終盤に入った時、日焼けした精悍な顔の青年が、感極まった声で語った。「先生! ありがとうございます! 私たち男子部は、断じて戦い、勝って、先生にお応えしていきます」
伸一は、にっこり微笑むと、力を込めて語り始めた。
「そうだ。師匠が表に出て動けないならば、師に代わって立ち上がるのが弟子です。私と会えなければ元気が出ない、勇気も湧かないというのであれば、真の師弟ではない。師をしのぐ果敢な実践をもって、広宣流布の未曾有の上げ潮をつくっていくんです。
私が君たちを指導・激励し、全力を注いで育成してきたのは、こうした時のためです。
今こそ、『私たちに任せてください! 弟子の戦いを見てください!』と胸を張り、私に代わって同志を励まし、元気づけていくのが師弟だ! 君たち一人ひとりが山本伸一なんだよ! 私は、肝心な時に力を発揮できないような弱虫を育ててきた覚えはありません。今こそ君たちが、学会を、それぞれの地域を担っていくんだ。その重要な時に感傷的になって、力を出せないことほど、情けない話はありません。
それが、今の私の思いだ。魂の叫びです。頼んだよ!」
そこにいた青年たちの瞳が、決意に燃え輝いた。唇を嚙み締める人もいた。拳を握り締める人もいた。
戸田城聖は、一九五四年(昭和二十九年)十月、彼のもとに集った一万人の青年に訴えた。
「吾人は、前途多難に対して奮起を望むものである」(注)と。
小説『新・人間革命』の引用文献
注 「青年諸君に告ぐ」(『戸田城聖全集4』所収)聖教新聞社
〈小説「新・人間革命」〉 雌伏 二十を読んだ感想と決意 島幸弘
いざという時に師弟共戦の思いで立ち上がる!そんな弟子を育ててこられた、今がその時ではないのか!師の思いを我が使命と命の底からほとばしる情熱で我が地域を広布の模範地域に革命して行こう!我が地域こそ仏国土にして行こう!